妊活をしていると、排卵が近づくにつれて、
「今周期は何をしたらいいかな」
「もっと身体に良いことをしなきゃ」
「何か足りないことがあるのかな」
と、いろいろ考えてしまうことはありませんか?
妊活について調べれば調べるほど、食事、サプリメント、運動、温活、睡眠、ストレス対策など、やった方がよさそうなことがたくさん出てきます。
でも、毎月すべてを完璧にこなそうとすると、それ自体が負担になってしまうこともあります。
排卵前にまず大切にしてほしいのは、特別なことをどんどん増やすことではありません。
毎日の身体の「土台」を整えること。
今回は、排卵前に意識してほしい、
①しっかり休む
②しっかり食べる
③冷やしすぎず、少し動く
という3つの基本について、妊活鍼灸の視点も交えながらお伝えします。
排卵前は、身体が卵胞を育てている時期
月経が始まってから排卵までの時期を、一般に「卵胞期」と呼びます。
この時期には、卵巣の中で卵胞が成長し、その中から排卵に向かう卵胞が育っていきます。
排卵前になると、エストロゲン(E2)の分泌も増え、子宮内膜も少しずつ厚くなっていきます。
つまり排卵前は、
「排卵日だけを待つ時間」ではなく、身体が次の段階に向けて準備している時期
とも言えます。
だからこそ、この時期に無理を重ねるよりも、睡眠や食事、適度な運動など、基本的な生活習慣を整えておくことが大切です。
WHOも、妊娠を希望する人に対して、健康的な食事、身体活動、禁煙などの生活習慣を妊娠前から整えることを推奨しています。
① まずは「休める身体」をつくる
妊活中は、どうしても頑張りすぎてしまう方が多いです。
仕事をしながら通院したり、排卵日を気にしながら予定を組んだり、採血結果や基礎体温をチェックしたり。
頭の中が妊活のことでいっぱいになってしまうこともあります。
そこに睡眠不足や疲労が加わると、身体を回復させる時間が足りなくなってしまいます。
排卵前だからこそ、
- 夜更かしをできるだけ減らす
- 睡眠時間を確保する
- 予定を詰め込みすぎない
- 疲れている日は早めに休む
- 寝る直前までスマホを見続けない
といったことを意識してみましょう。
「休まなきゃ」と頑張らなくて大丈夫
ここで大切なのは、
休むことまで義務にしないこと。
「今日は早く寝なきゃ」
「7時間絶対寝なきゃ」
とプレッシャーにしてしまう必要はありません。
いつもより30分早くスマホを置いてみる。
湯船につかってから寝る。
疲れた日は家事をひとつ減らす。
それだけでも十分です。
頑張りすぎないことも、妊活のひとつ。
そう考えてみてください。
② 卵胞を育てる時期こそ、「ちゃんと食べる」
妊活中の方とお話ししていると、
「太りたくないから食事を減らしています」
「忙しくて朝食を抜いています」
「お昼はお菓子だけでした」
という話を聞くことがあります。
もちろん食事内容は人それぞれですし、特定の食品を食べれば妊娠しやすくなる、という単純な話ではありません。
ASRM(米国生殖医学会)も、特定の食事法や特定の栄養素によって自然妊娠率が明確に上がるという十分な根拠はまだ限られているとしています。一方で、妊娠を希望する男女には、全身の健康のために健康的な食事と生活習慣を勧めています。
ですから大切なのは、
特別な「妊活食」を探すことより、まず日々の食事を整えること。
意識したい栄養素
特に妊娠を考えている時期には、
たんぱく質
肉、魚、卵、大豆製品など
鉄
赤身の肉、魚、貝類、大豆製品、青菜など
葉酸
緑黄色野菜、豆類など+必要に応じてサプリメント
ビタミン・ミネラル
野菜、果物、海藻類など
をバランスよく取り入れたいところです。
なお、妊娠を計画している女性には、神経管閉鎖障害のリスク低減のため、少なくとも1日400μgの葉酸摂取が推奨されています。
空腹を我慢しすぎない
「妊活のために体重を落とさなきゃ」
と極端な食事制限をする方もいますが、やせすぎも肥満も妊孕性に影響することがあります。
必要な場合には適正体重を目指すことは大切ですが、
食べないこと=妊活に良い
ではありません。
また、
「忙しかったから甘いものだけ」
「昼食を抜いて夕方にドカ食い」
という食べ方を繰り返すより、
できる範囲で主食・主菜・副菜をそろえて、
“ちゃんと食べる”ことを優先する
のがおすすめです。
③ 冷やしすぎず、少し動く
妊活中の方から、
「運動した方がいいですか?」
とよく聞かれます。
答えは、
無理のない範囲で身体を動かすことはおすすめです。
妊娠前の健康管理として、ASRMでは中等度の運動を週150分程度行うことを推奨しています。
もちろん、妊活中だからといって急に激しいトレーニングを始める必要はありません。
例えば、
- 20〜30分程度歩く
- 軽いストレッチをする
- ヨガをする(骨盤調整ヨガがおすすめです!)
- 階段を使う
- 長時間座りっぱなしにならないよう、ときどき立つ
などで十分です。
「少し動いて、少し温める」
妊活中は「冷え」を気にする方も多いですが、身体を温めることにこだわりすぎる必要もありません。
大切なのは、
冷やしすぎないこと。
足元が冷えるなら靴下を履く。
お風呂では湯船につかる。
デスクワークが長いなら、ときどき立って身体を動かす。
そんな日常的な工夫で十分です。
「絶対に冷たいものを食べない」
「夏でも腹巻きを何枚も重ねる」
というように、温活そのものがストレスになる必要はありません。
妊活は、
少し動いて、少し温める。
くらいの感覚で続ける方が取り入れやすいと思います。
排卵前の鍼灸は、何をしているの?
当サロンでは、妊活中の方に対して、月経周期や体調を確認しながら鍼灸施術を行っています。月経周期は4期に分類されます。月経期、卵胞期、排卵期、高温期です。それぞれの周期で、施術ないようは変わってきます。
「排卵前」でも、
- 冷えが強い方
- 疲労がたまっている方
- 睡眠が浅い方
- 胃腸の調子が悪い方
- 首肩の緊張が強い方
- 月経周期が安定しない方
など、身体の状態は一人ひとり違います。
そのため、
「妊活ならこのツボ」
と一律に施術するのではなく、その時の身体の状態をみながらツボを選んでいます。
鍼灸の位置づけについて
鍼灸は、妊娠そのものを保証する治療ではありません。
臨床では、
- 身体の緊張をゆるめる
- 冷えやこりなどの不調を整える
- 睡眠や疲労など、妊活中の体調管理を支える
- 定期的に身体を振り返る時間をつくる
といった妊活のサポートする基礎的な施術に加え
当サロンでは、
子宮まわりの血流や内膜環境を整えることを目的としたサポート
として鍼灸を行っています。
医療機関での検査・治療が必要な場合には、それを優先しながら併用していくことが大切です。
セルフ灸も「その人に合ったもの」を
妊活中の患者さんには、身体の状態に応じて、ご自宅でできるセルフ灸の方法をお伝えしています。
基本的に週一ペースで来院していただくことをおすすめしていますが、その間にご自宅でセルフ灸をしていただくことで、効果が高まります。
ただし、
「妊活なら毎日このツボ」
というわけではありません。
月経期、卵胞期、排卵前、排卵後、高温期など、周期によって身体の状態も変わります。
また、冷えが強い方と、ほてりや熱感が強い方では、同じセルフケアが合うとは限りません。
だからこそ、
自分の体質や今の状態に合った方法を知ること
が大切です。
排卵日だけに集中しすぎなくて大丈夫
妊活では、
「今日が排卵日かな?」
「タイミングは今日?明日?」
と、どうしても排卵日に意識が集中します。
もちろんタイミングは大切です。
ASRMでは、妊娠しやすい期間(fertile window)は排卵日までの6日間とされ、特にこの期間に1〜2日おきに性交することで妊娠の可能性を高められるとしています。
排卵検査薬や頸管粘液の観察など、排卵時期を把握する方法も妊娠成立までの時間を短縮する助けになることがあります。
ただし、
排卵日だけ頑張ればいい、というわけではありません。
排卵前から、
休む。
食べる。
身体を動かす。
必要であれば医療や鍼灸のサポートを受ける。
そうやって身体の土台を整えながら、排卵の時期を迎えていきましょう。
妊活は「足し算」ばかりにしなくていい
妊活を始めると、
「このサプリも飲んだ方がいい?」
「この食品も食べなきゃ」
「毎日運動しなきゃ」
「温活もしなきゃ」
と、生活の中に“やること”がどんどん増えていきます。
でも、身体を整えるために大切なのは、
何かを足し続けることだけではありません。
よく眠る。
ちゃんと食べる。
少し身体を動かす。
疲れている日は休む。
この基本が、身体づくりの土台です。
WHOも、妊娠を希望する人へのケアでは健康的な食事や身体活動などの生活習慣だけでなく、不妊がもたらす心理的負担への継続的なサポートも重要だとしています。
頑張りすぎなくて大丈夫
排卵前だからといって、全部完璧にできなくても大丈夫です。
今日は早く寝られた。
今日はきちんと食事ができた。
今日は少し歩けた。
そんな小さな積み重ねで十分です。
排卵前に大切なのは、特別なことより「土台を整えること」。
そして、
「自分の場合は何をしたらいいの?」
「何を整えたらいいか分からない」
そんな時は、お一人で悩まず気軽にご相談くださいね。
身体の状態や月経周期を確認しながら、
鍼灸施術+ご自宅でできるセルフケア
を一緒に考えていきます。
焦らず、比べず。
今できることから、少しずつ。
妊活を続ける身体そのものを、大切に整えていきましょう。
参考資料
WHO「Infertility」「WHO issues first global guideline on infertility」では、不妊の原因や妊娠を希望する人への健康的な生活習慣・心理的支援について解説されています。
American Society for Reproductive Medicine(ASRM)「Optimizing natural fertility」では、妊娠しやすい時期、性交頻度、葉酸、食事・生活習慣についてまとめられています。
ASRM「Prepregnancy counseling」では、妊娠前の運動や健康管理について推奨が示されています。
NCCIH「Acupuncture: Effectiveness and Safety」では、不妊治療における鍼治療研究の現状について解説されています。
