「気づくと奥歯をグッと噛みしめている」
「朝起きると顎やこめかみが重い」
「肩や首がいつもガチガチ」
「休んでいるはずなのに、なかなか身体の力が抜けない」
そんなことはありませんか?
毎日、仕事や家事、育児、人間関係など、たくさんのことを頑張っている女性ほど、自分では気づかないうちに身体に力が入っていることがあります。
その代表的なもののひとつが、噛みしめ・食いしばりです。
今回は、無意識の食いしばりと身体の緊張について、そしてスキマ時間にできる簡単なセルフケアをご紹介します。
食いしばりは「無意識」に起きていることも
歯を噛みしめたり、歯ぎしりをしたりする状態を「ブラキシズム」と呼びます。
ブラキシズムは睡眠中だけではなく、起きている時間にも起こります。
特に日中の食いしばりは、
- パソコン作業に集中している時
- スマートフォンを見ている時
- 車を運転している時
- 家事に追われている時
- 考えごとをしている時
- 緊張している時
などに起こりやすく、本人が気づいていないことも少なくありません。
米国国立歯科・頭蓋顔面研究所(NIDCR)でも、ブラキシズムは起きている時にも睡眠中にも起こり、本人が自覚していない場合があると説明しています。
何もしていない時、上下の歯はずっと接触しているわけではありません
「口を閉じている=歯も噛み合っている」と思っている方も多いのですが、安静にしている時は、上下の歯は常に強く接触しているわけではありません。
ところが、集中や緊張が続いていると、無意識に顎の筋肉に力が入り、奥歯を噛みしめ続けてしまうことがあります。
その状態が長く続けば、顎だけではなく、
こめかみ・耳まわり・首・肩
などにも緊張が広がっていきます。
食いしばりに関わる「側頭筋」
食いしばった時に、こめかみ付近に手を当ててみてください。
奥歯をグッと噛むと、筋肉が硬く動くのがわかると思います。
この筋肉が側頭筋です。
側頭筋は、下顎を動かして噛む動作に関わる大切な筋肉。
食いしばりが続いている方では、側頭筋や顎まわりの筋肉に疲労感や緊張が出ることがあります。
ブラキシズムでは、顎の筋肉のだるさや痛み、頭痛、顔面痛、歯の知覚過敏や摩耗などがみられることがあります。
ストレスだけが原因ではありません
「食いしばり=ストレス」と考えられがちですが、原因はひとつではありません。
NIDCRやNHSでは、ブラキシズムに関連する要因として、
- ストレス
- 不安や緊張
- 睡眠の問題
- カフェイン
- アルコール
- 喫煙
- 一部の薬
などが挙げられています。
つまり、
「私が頑張りすぎているから全部起きている」
と考える必要はありません。
ただ、心身の緊張が続いている時に、食いしばりが強くなる方がいるのも事実です。
頑張りすぎている時、身体はこんな状態に
例えば、
「時間に追われている」
「ちゃんとしなきゃと思っている」
「人に頼るより自分でやった方が早い」
「いつも次のことを考えている」
そんな状態が長く続くと、心だけではなく身体も休みにくくなります。
ストレスが続くと、頭痛や筋肉の緊張、睡眠の変化など、さまざまな身体症状が現れることがあります。
そんな時こそ大切なのが、
「力を入れること」ではなく「力を抜くこと」
です。
1分でできる「緊張ほぐし」セルフケア
ここからは、仕事の合間やお風呂上がり、寝る前などに取り入れやすいセルフケアをご紹介します。
強く刺激する必要はありません。
「気持ちいいな」と感じる程度の刺激で、ゆっくり呼吸しながら行いましょう。
① 耳まわりをやさしくゆるめる
耳の上・真ん中・下の3か所を、それぞれ軽くつまみます。
そして、
耳の上部は斜め後ろ上へ。
真ん中は横へ。
下部は下方向へ。
それぞれじわ〜っと5秒程度、やさしく引いてみます。
最後に耳全体を軽く回してみましょう。
耳そのものを強く引っ張る必要はありません。
あくまでも、
「心地よい」程度
で十分です。
耳まわりに触れる時間そのものを、「身体の力を抜くきっかけ」として使ってみてください。

② 側頭筋をやさしくほぐす
手のひらの下側を、こめかみから耳の上に当てます。
軽く圧をかけながら、
円を描くようにゆっくり
動かします。
10秒程度を目安に、少しずつ位置を変えてみてください。
ポイントは、
息を止めないこと。
「は〜っ」とゆっくり息を吐きながら行うと、身体の力を抜きやすくなります。
NIDCRでも、ブラキシズムのセルフケアとして、リラクゼーションや顎・首まわりのストレッチなどが紹介されています。

③ 首のうしろをやさしくゆるめる
頭と首の境目には、鍼灸でもよく使う
風池(ふうち)
天柱(てんちゅう)
というツボがあります。
首の後ろに両手を添え、頭と首の境目あたりに親指を当ててみてください。
頭の重さを少し親指に預けるようにしながら、
じわ〜っと5秒程度。
これを3回ほど繰り返します。
強く押し込むのではなく、心地よく感じる範囲で行いましょう。
首まわりをゆるめながら、呼吸もゆっくり続けます。

肩や首も一緒に力を抜いてみましょう
顎だけをゆるめようとしても、肩が上がったままでは身体全体の力は抜けにくいものです。
そこで、
肩を軽くつかむ
↓
息を吐きながら肩を下げる
↓
心地よいところで数秒キープ
という簡単なケアもおすすめです。
「肩を下げよう」と頑張るのではなく、
重力に任せてストンと落とす
くらいの感覚で十分です。
また、こりをやさしくほぐしてあげることで、全身の緊張がゆるみます。

おすすめのタイミング
セルフケアは、特別な時間を作らなくても大丈夫です。
おすすめは、
デスクワークの合間
集中している時は、奥歯が接触していないか確認してみましょう。
NIDCRでは、日中に食いしばる人に対し、歯を離すことを思い出すために、メモやスマートフォンのタイマーを活用する方法も紹介しています。
お風呂上がり
身体が温まっている時に、呼吸をしながらゆっくり行うのもおすすめです。
寝る前
「今日も頑張ったな」と感じた日に、ほんの1分だけでも身体の力を抜く時間を作ってみてください。
NHSでも、ブラキシズムへの対策として、リラクゼーションや睡眠環境を整えることなどを勧めています。
「今、奥歯は離れている?」と確認してみてください
セルフケア以上に大切なのが、
自分が食いしばっていることに気づくこと。
この記事を読んでいる今、
奥歯はくっついていませんか?
肩は上がっていませんか?
眉間に力が入っていませんか?
呼吸を止めていませんか?
1日に何度か、
「今、身体に力入ってない?」
と確認する習慣をつけるだけでも、自分の身体の状態に気づきやすくなります。
妊活中だからこそ「休める身体」をつくる
妊活中は、
「これを食べなきゃ」
「運動しなきゃ」
「冷やさないようにしなきゃ」
「もっと何かしなきゃ」
と、つい身体に良いことを“足す”ことばかり考えてしまうことがあります。
でも、ときには、
何かを頑張ることより、身体を休ませることも大切です。
妊活中の身体づくりは、一つのセルフケアだけで妊娠率が上がるという単純なものではありません。
だからこそ私は、
身体の緊張に気づくこと。
睡眠をとること。
適度に身体を動かすこと。
食事を整えること。
そして、頑張り続けている身体に「休んでいい時間」をつくること。
そうした小さな積み重ねを大切にしています。
セルフケアだけで様子を見ない方がよい場合も
食いしばりがある方の中には、歯科での確認が必要なケースもあります。
次のような症状がある場合は、一度歯科で相談してください。
- 顎や顔が痛い
- 口が開けにくい
- 歯がすり減っている
- 歯が欠けた、ひびが入った
- 知覚過敏が強くなった
- 頭痛が頻繁にある
- 家族から睡眠中の歯ぎしりを指摘された
NIDCRやNHSでも、顎の痛み、歯の摩耗・破折、知覚過敏などがある場合には、歯科で評価を受けることが勧められています。
必要に応じて、歯を守るためのマウスガードなどが検討されることもあります。
頑張る身体に「1分の休息」を
身体は、頑張ることだけが得意なのではありません。
本来は、
緊張する → ゆるむ
を繰り返しながらバランスをとっています。
けれど、忙しい毎日が続いていると、
「緊張する」はできても、
「ゆるむ」が上手にできなくなってしまうことがあります。
そんな時は、大きく生活を変えなくても大丈夫。
まずは今日、
耳に触れてみる。
こめかみをゆるめてみる。
肩をストンと落としてみる。
そして、ゆっくり息を吐いてみる。
たった1分でも、
「今は頑張らなくていい時間」
を身体につくってあげてください。
当サロンでは、お一人おひとりの身体の状態や体質をみながら、鍼灸施術とご自宅でできるセルフケアを組み合わせてご提案しています。
「身体の力を抜くのが苦手」
「休んでいるのに疲れが抜けない」
「妊活中、何を整えたらよいかわからない」
そんな時は、一人で頑張りすぎずご相談ください。
頑張り続ける身体に、
ふっと力を抜ける時間を。
身体が「休んでいいんだ」と思える時間を、一緒につくっていきましょう。
